大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和36(あ)2198 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意について。

所論は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由に当らない。記録を調べる

と、原審は第一回公判期日の召喚状を被告人に適式に送達し、被告人自らこれを受

取つていること、被告人はその延期方を求める旨のはがきを差し出したのみで右第

一回公判期日に出頭せず、弁護人両名は出頭したこと、同公判期日において裁判長

は次回公判期日を昭和三六年五月二〇日午前一〇時と指定告知したのであるが、右

指定された第二回公判期日の召喚状は、被告人の原審に届け出た住居以外の旧住居

宛に送達されたこと、かくして第二回公判期日にも被告人は出頭しなかつたが弁護

人等は出頭したこと、同公判期日において裁判長は第三回の公判(宣告)期日を同

年六月二〇日午後一時と指定告知したが、同公判期日の召喚状は被告人に送達され

た形跡がないこと、右宣告期日に被告人は出頭せず、弁護人一名は出頭したもので

あること明らかである。されば原審の第二回及び第三回公判期日の召喚手続は適法

になされたものとはいい得ないこと勿論であるが、控訴審においては、被告人は公

判期日に出頭することを要しないし(刑訴三九〇条本文)、被告人のためにする弁

論は弁護人でなければこれをすることができないものであり(同三八八条)、しか

も本件において弁護人は前記のとおり原審の第一回ないし第三回公判期日を通じて

出廷していること等にかんがみれば、右手続上の瑕疵は原判決に影響を及ぼすべき

ものとは認められない。

弁護人稲垣規一、同笹原桂輔の上告趣意第一点について。

所論は要するに、被告人は日本の国籍を有するものであるのにこれを外国人であ

ると断定して処罰した原判決は憲法一三条に違反するというにある。しかし所論の

- 1 -

前提自体、原判決の認定に副わないものであるから、所論違慮の主張は前提を欠く

ものであつて適法な上告理由に当らない。

同第二点について。

所論は採証法則違背、事実誤認の主張であつて適法な上告理由に当らない。

同第三点について。

所論は違憲をいうけれども実質は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由

に当らない。(なお本件の如き外国人登録法による登録申請義務は、所定の登録申

請期間の経過によつて消滅するものではなく、当該外国人が本邦に在留する限り、

これを履践するまで継続するものであり、従つて右登録不申請罪に対する公訴の時

効は、右所定期間の経過の時からその進行を始めるものではなく、その後その義務

の履践によつて義務が消滅した時を標準として右時効期間を起算すべきものである

ことは、当裁判所の判例〔昭和二七年(あ)第七五三号、同二八年五月一四日第一

小法廷判決、集七巻五号一〇二六頁、昭和二六年(あ)第三八九五号、同二八年七

月三一日第二小法廷判決、集七巻七号一六五四頁〕の趣旨とするところである。)

同第四点及び第五点について。

所論はいずれも事実誤認ないし単なる法令違反の主張を出でないものであつて適

法な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

検察官 関之公判出席

昭和三八年一二月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

- 2 -

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

- 3 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!